大腸癌検診を受けましょう
最近の我が国における死亡原因の第一位が、癌死であることは既にご存知と思います。
癌を部位別に見ますと、胃癌、子宮癌等による死亡が、集団検診の成果もあり減少傾向にある一方、大腸癌、膵臓癌、肺癌等が増加傾向にあり、生活・食習慣の欧米化や生活環境の悪化が要因として挙げられています。
最近普及しつつある大腸癌検診法についてご紹介します。
大腸癌の確定診断を得るには、肛門側からバリウムや大腸内視鏡を大腸内に入れ検査をする必要があります。これらの検査には心理的抵抗感もあり、また胃のバリウム検査のような簡便さにやや欠けるため、直ちに検診対象者全員に実施するのではなく、まず便検査で大腸癌の存在する可能性の高い人を選び、詳しい検査を実施する方式が一般的です。
検診は概ね次のような手順で行なわれます。
- 大腸癌一次検診(便検査)
大腸癌が存在すると便中に血液が混入する確率が高いため、便潜血反応検査を一次検診として実施します。
最近は人間の赤血球成分を免疫学的手法を用いて、選択的かつ鋭敏に検出することが可能です。
様々な統計的報告がありますが、通常の集団検診で5%程度の便潜血陽性率があり、陽性者には下記の精密検査を受けていただくことになります。
便潜血陽性者に大腸癌が発見される確率はさらにその5%前後と言われています。
もちろん便潜血反応が陰性でも大腸癌が絶対に存在しないとの確証にはなりませんので、陰性者でも気になる症状があれば、医師に相談して、便検査を繰り返してみたり精密検査を積極的に受けることをお勧めします。 - 大腸癌二次検査(レントゲン、内視鏡)
便潜血陽性者には通常まず大腸に薄いバリウムを注入し、レントゲン写真を撮る大腸注腸法検査を行ない、その結果病変の存在が疑われれば、さらに大腸内視鏡検査を行ない、肉眼的かつ組織学的に確定診断をつけます。早期癌であれば、手術をせずに内視鏡的に切除してしまうことも可能です。
このような方法で大腸癌集団検診を行なうと統計的には1000人に2-3人の確率で大腸癌が発見されます。是非積極的に便検査を受けて頂きたく思います。