『生物学的恒常性』を磨こう!

いかに科学が進歩したといえども、人間は自然界の例外では無く、常に自然そのものであり、その体内では、刻々と自然のリズムが刻まれ、様々なホルモン、神経、化学的伝達物質や遺伝子、そして未だ未知なる機構を介して、隅々までの細胞や諸臓器が見事に統制され機能し、その結果として人間は存在しています。

それは言い変えれば、環境の刺激(ストレス)に対して柔軟に対応し、一定の状態を保ちつつ存在する、自然にプログラムされた能力であり、『生物学的恒常性』と呼ばれています。この自然の能力は、普段は自覚されること無く、人間の意識や精神活動から、あたかも自律しているかに振る舞っていますが、実際には様々なレベルで日常生活の喜怒哀楽の影響を受けています。

ストレスって何?

生物学的なストレスとは、具体的に対象のある精神的な悩みや苦痛のみで無く、ちょっとした生活リズムの乱れ、誤った生活習慣や個性の片寄りによって生じる心身の失調等、見過ごされているものも多くあります。こうした環境因子により生じた生物学的恒常性の歪みが様々な病気の引き金となって行きます。

ストレス病は意外に多い!

心身症、神経症、うつ病等、ストレスとの因果関係が比較的明瞭なもののみでなく、高血圧、不整脈、めまい、狭心症、心筋梗塞、自律神経失調症、糖尿病、月経異常、不妊症、胃炎、胃十二指腸・瘍、慢性の下痢や便秘、喘息、アレルギ-等々、枚挙に暇が無い程多くの疾患や症候の背景にストレスの関与を見ることができます。

日常生活を見直そう!合併症に注意すること

人間が生きる為に築き上げた社会生活そのもに、様々なストレスが宿命的かつ構造的に内在されているのですから、益々社会構造が複雑化し価値観が多様化して行く中で、現代的ストレス病も多様化と増多の傾向を示しています。
さて、せっかくの春を台無しにせぬよう、もう一度皆様個々の日常生活を冷静に分析して、心と体のリフレシュをして下さい。

  • 睡眠は十分ですか。
  • 無理無く規則的な生活ですか。
  • 栄養の片寄りは有りませんか。
  • 運動不足はありませんか。
  • 目的や夢を持っていますか。
  • なんとなくいつも体調が悪くありませんか。
  • セカセカと速飯食いで、イライラと仕事ばかりの生活ではありませんか。
  • 人にまかせることが出来ず、つい自分で何もかも背負い込んでいませんか。
  • 生真面目だけど融通がきか無いなどと言われたことはありませんか。
  • 義理人情に厚く嫌と言えない性格ではありませんか。

日ごろからストレスを解消し、過労を避け、十分な睡眠を取り体調を整えて下さい。
乾布まさつ等による皮膚の鍛練もアレルギー疾患の発作の予防に効果があるといわれています。
酒・煙草・感冒・蓄膿症など粘膜のアレルギー症状を助長する因子や疾患も適切に治療しておきましょう。

ストレスを制する!

なんとなく典型的な微笑しい日本人像が浮かんで来てしまいましたが、問題なのはそのことが悪いので無く、限度を越えてはならないということです。
ある時は真っ向からストレスに立ち向かい、ある時はスルリと身をかわし、ある時は若木のように跳ねのけて、たまには大地にひっくり返って、我と我身を振り返る余裕を持ち、なんとか自分自身の個性的生活リズムと体内の自然を守りぬく。

そして、そんな柔軟性を社会構造の中に組み入れてゆくことが共に健康に生き抜くテクニックではないでしょうか。