通常、健康な人の排便は、充分量の普通便が一日一回、朝食後に規則的にあることを理想とします。
しかし排便の習慣には多少の個人差もあり、二~三日に一回の排便でも、規則的で充分量の便通があり、とくに日常生活を妨げる不快感や自覚症状が無ければ直ちに病的便秘とはいえません。

また逆に、毎日排便があっても、不規則で、便が硬く、充分量の排便が得られず排便困難や腹痛など様々な不快感を伴なうときは、便秘症としての処置を要する場合もあります。
一般に便秘症は下記の三つに分類されます。

(1) 弛緩性便秘

大腸の働きが低下することによって起こる便秘。年齢的大腸機能低下により高齢者に多くみられる便秘。
その他、糖尿病、脊髄損傷、特殊な神経疾患などによっても生じる。便意や自覚症状に比較的乏しい。

(2) 緊張性便秘

大腸の働きが昂進し、過緊張に陥ることにより生じる便秘。排便を妨げる不規則な生活習慣、ストレス、自律神経失調などが背景にあることが多く、硬くコロコロした兎糞様の便がみられるたり、便秘と下痢を繰り返したりする。
若い人に多いタイプの便秘。

(3) 器質的便秘

大腸の働きが昂進し、過緊張に陥ることにより生じる便秘。排便を妨げる不規則な生活習慣、ストレス、自律神経失調などが背景にあることが多く、硬くコロコロした兎糞様の便がみられるたり、便秘と下痢を繰り返したりする。
若い人に多いタイプの便秘。

便秘の注意事項・予防・治療は下記の通りです。

  • まず医師に相談し、前記(2)の器質的便秘を否定すること。
  • 排便を我慢しないこと。
  • 毎日一定の時間(朝食後が望ましい)に余裕を持ってトイレに行き排便する習慣をつけること。
  • 運動不足を避け、腹筋運動や散歩などにより腸の動きを活発にすること。
  • ストレスを解消し、過労を避け不用な肉体的、精神的緊張を解くこと。
  • 食物繊維(海草、野菜、果物、茸類)や、水分を充分とること。
  • 甘味は便秘を助長するので、とり過ぎぬこと。
  • やむを得ず下剤を必要とするときは、医師に相談し、自分の便秘のタイプに合った薬を選択し、必要最小限度に使用すること。